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障害者雇用促進法について

障害者雇用促進法について

障害者雇用促進法とは、障害者の皆さんの職業の安定を図ることを目的とする法律をいいます。

障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年7月25日制定法律第123号)が正式名称になります。

今回は、この「障害者雇用促進法」について、詳しくご紹介していきたいと思います。

障害者雇用促進法とは?

この法律の目的実現のための具体的な措置内容を見てまいりましょう。

  1. 障害者雇用の義務化により、雇用の促進を果すことへの措置。
  2. 雇用分野により、障害者とそうでない者との機会の均等、待遇の確保さらに障害者の能力の十分な発揮がなされるための措置。
  3. 職業リハビリテーションの措置。
  4. 障害者がその能力に合った職業に就くことで、職業生活の自立化を促進させるための措置。

以上が措置策として挙げられています。

なお、新聞紙上だけだはなく各報道でも話題になっています「いわゆる水増し問題」があります企業や公的機関に一定割合の障害者の雇用の義務付けによるこの不祥事と社会現象につきましてはのちほどお話いたします。

その前に、「障害者に対する差別の禁止および合理的配慮の提供義務」につきまして、平成28年4月1日に改正法が施行されていますので具体的な内容を見てまいりましょう。

「障害者に対する差別禁止」の具体的内容は、次の通りになります。

  • 障害や車いすの使用・人工呼吸器使用等を理由として採用を拒否すること。
  • 障害を理由にして、賃金の引き下げや昇給をさせないこと。
  • 障害を理由にして、研修や現場実習を受けさせないこと。
  • 食堂や休憩室の利用を認めないこと。

しかし、業務能力を適正に評価診断した結果であるとの合理的理由がある場合には禁じられるものではありません。

改正の後半部分の「合理的配慮」の具体的内容になります。

  • 採用試験の問題用紙を点訳や音訳にすること。同時に回答時間を延長することなど。
  • 車いす使用者に合わせて、机・作業台の高さを調整すること。
  • 通勤ラッシュを回避するために通勤時間を変更すること。
  • 障害者の通院や体調に配慮すること。などになります。

このように事業主は、障害者立場に立ってその意向を十分に尊重しなければなりません。

前後してしまいましたが、身体、知的障害者に精神障害者が追加され一括して障害者としています。

この追加には、ADHD(注意欠陥、多動性障害)や発達障害、てんかんも含まれます。

法定雇用率につて

障害者(身体・知的・精神障害者)が、地域の一員として一緒に生活できる共生社会のために、事業主は法定雇用率以上の割合で障害者の雇用を義務付けられています。これを障害者雇用率制度といいます。

先にもお話ししました、「いわゆる水増し問題」があります。様々な議論がなされていますが、本当の意味での戦力として障害者が雇用され活躍する社会でなければなりません。

障害者への憐憫の情とか義務だから仕方なく雇用するという土壌では双方に不幸の要素が形成されてしまいます。思い切った発想の大転換が必要とされているのではないでしょうか。

この法定雇用率ですが、平成30年4月1日から変わりました。

  1. 民間企業(2.0%)⇒2.2%
  2. 国、地方公共団体等(2.3%)⇒2.5%
  3. 都道府県等の教育委員会(2.2%)⇒2.4%

ちなみに計算式は、下記のようになります。

法定雇用率=(障害者である常用労働者数+失業中の障害者数)/(常用労働者数-除外率にあたる労働者数+失業者数)

障害者雇用の民間企業の事業主の範囲が従業員50人以上から45.5人以上へと変更になりました。

また、次の義務も付加されました。

  • 障害者雇用状況(毎年6月1日現在)の報告をハローワークにすること。
  • 「障害者雇用推進者」の選任をしなければなりません。

障害者雇用の促進ならびに継続維持のためです。

残りの注意すべき改正点は、平成33年4月までには、追加的に0.1%引き上げとなり2.2%から2.3%になります。国家機関等も0.1%の引き上げとなります。

2.3%になった場合には、対象の事業主の範囲は、従業員43.5人以上へと広がってまいります。この点も併せて変更になりますので注意が必要になります。

納付金制度について

障害者の雇用による事業主の経済的負担の調整を図り、障害者雇用水準を引き上げることを目的(障害者の雇用の促進と安定)とし、雇用率の未達成企業から納付金を求め雇用率を達成した企業には調整金や報奨金を助成し援助するために設置された制度です。これを障害者雇用納付金制度といいます。

毎年6月1日現在のものをハローワークに報告をします。報告内容により、法定雇用率に達しない企業は障害者雇用納付金を納めなければなりません。

  1. 法定雇用障害者の不足者1人当たり月額50,000円を納めることになります。なお、常用労働者100人超の企業からの徴収でありそれ以下の中小企業からは徴収いたしません。
  2. 常用労働者数100人超200人以下の企業まで制度の適用範囲が拡大されました。(改正法平成27年4月1日施行)
  3. 常用労働者数が100人超200人以下の企業にあっては、平成32年3月31日まで納付金の減額特例措置が受けられます。(1人当たり40,000円になります。)
  4. 障害者雇用調整金の支給要件は、障害者雇用率達成事業主に対しまして障害者1人当たり月額27,000円の調整金が支給されます。
  5. 報奨金の助成につきましては、常用の労働者100人以下で障害者を4%ないし6人のいずれか多い数を超えて雇う事業主に対して支給されます。

超過1当たり月額21,000円になります。

このように納付金や助成金・報奨金制度によりまして企業と国家機関とで相互補完作用をしています。

おわりに

今回は、「障害者雇用促進法」について、詳しくご紹介してきましたが、いかがでしたか?

少し分かりにくい話が多かったかもしれませんが、これを機に少しでも知っていただければと思います。